運送業を続けていると、どうしても避けきれないリスクと言うものがあります。
何処の業種にもリスクは存在しているのでしょうが、運送業はやはり交通事故と作業事故が大きな原因ではないでしょうか?
この事故リスクは事業をする上で避けきれないリスクです、どんな講習を受けても、どんな講義を受けても絶対に無くならない事故だからです。減らすことは出来ても無くならないリスクですね。
この交通事故と作業事故、ほとんど人が起こすヒューマンエラー。ほとんどの労働災害はヒューマンエラーではないでしょうか?
ヒューマンエラーには「慣れ・疲労・無知・不注意・連絡ミス・単調作業による危険軽視・仕事を省略したり基本ルートを走らず近道をした結果事故」など、その現場での状況によって色々変わってきますが、全て間違った行動をした結果です。
やるべきことをやらない、正しい行動をしない、自分都合でやった結果のリスクと言えます。

交通事故も作業事故も沢山見てきましたけど、怖いものです。たぶん見られた皆さんも顔が引きつってしまうような光景だったのではないでしょうか?
例で言いますと全部身近な出来事になりますが、作業事故としてはフォークリフトとトラックの間に挟まれて亡くなった方や、タンク内の薬品洗浄中に船から落ちて重傷及び薬品を被って重体、台車が荷台から落ちてきて下敷きになったり。
交通事故はもう多種多様な事故を見てきていますし、例を出したらキリがありません。この業界の人ならば同じ思いではないでしょうか?
そんなリスクを持ちながら尚且つその他のリスクを背負いながら運送業を続けておられると思いますが、題名の4つのリスクを知ってリスクマネジメントを行うしかありません。
4つのリスクとは
☆負うべきリスク
これは新規事業をしたり、事業の発展、継続をするために設備投資をしたりと積極的に取っていくリスクです。運送業でも事業を拡大したり、営業所を増やしたり車両を増やしたり。コストも増えますが売り上げも雇用も増えます。
☆負ってもいいリスク
これはたとえ失敗してもカバーできるリスクの事ですね。失敗しても許容範囲内で解決できるもので、事業には影響が無いものです。たとえばトラックが故障して道路上で立ち往生してしまった時に直ぐに代替トラックを用意して現場に駆け付け、荷物を積みかえして輸送するようなとき。お客様の現場で荷物が破損していたのに気づき、すぐさま会社に連絡をし、荷主と連携してスピーディーに対処したとき。(残念なドライバーは「俺、知らないよ、俺がやったんじゃないから」などと台詞を吐きクレームになったことがあります。)
☆負ってはいけないリスク
これは会社を潰してしまうリスクですね。自社の能力以上の事をして失敗して多額の負債を抱えて倒産。それと重大な法令違反。この法令違反は、会社が継続困難になってしまうようなリスクなのにまったくルールを守ろうとしないこと。運送業の重大違反としては運行管理者、整備管理者の専任、点呼全員未実施、名義貸しや監査拒否・虚偽陳述等々で、一発で事業停止になるリスクです。社会と顧客への裏切り行為ですから、会社の利益だけしか考えていない運送会社はいずれ痛いしっぺ返しが来ます。
☆リスクを負わないリスク
これは何もしないリスクですね、目の前にチャンスがあるのにスルーしてしまって乗り遅れてしまったとか、市場環境や顧客のニーズが変わってきているのに、今のやり方を変えない。また今まで問題なくやってきたからこれからも大丈夫だと思い込み、何ら改善もせず時代の変化に対応できなくなり顧客からの需要を失ってしまうなど。(私的にはこれが一番やってはいけないリスクだと思っています)
これらが事業をして行く上でのリスクでしょうか?他にもレピュテーションリスク(評判リスク、風評リスク)や取引先の信用不安リスク、セキュリティリスク、自然災害に関わるリスク、感染症のリスク(コロナ、インフルエンザ)などがあります。
沢山のリスクがありますが、その場限りというか、その時になったらどうするか考えているのではないでしょうか?
予想外のリスクを予想内のリスクにすると、リスクは回避しやすくなると思います。当然リスクの対処法があります、4つのリスクには4つの対処法です。「予防」「軽減」「移転」「容認」です。
事業リスクで一番怖いのは「知らない、わかっていない」と言う事です。
これは危ないぞと知っていれば、対応策、予防策が作れるため大きなリスクとは思わないはずです、しかし知らなければ防ぎようがなく何の対策も構築できません。リスクマネジメントは事業を継続する以上必要な知識です。
周りをいつもと違った見方をしてみると、思いも付かなかったリスクが存在しているのかもしれません。

運送業に従事する者はエッセンシャルワーカーと言われます、人々が幸せな生活をするうえで絶対に必要な職業であり、この世の中に無くてはならない存在です。企業の存続を脅かすようなリスクはしっかりとマネジメントをして社内で共有するべきだと認識しています。
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