前回、「品質管理について次回書こうと思います」という事を書いたのでそれについて書いていきます。
たくさんの運送会社さんは、輸送品質や物流品質と言ったマネジメントシステムなどを構築したりPDCAサイクルを回したりしていると思うのですけれど、小さな運送会社はやっているのか?はたまたやっていても実際機能しているのか?という思いがあります。
たぶんですけれど、PDCAサイクルを回している会社の中には、外部環境の変化を受ける事や想定外の事項に対応するためにSPDLIサイクルとPDCAサイクルを組み合わせたダブルループコントロールをしているところもあるかもしれませんね。
そんな中で実際にドライバーがやるたった一つのこととは、
会社を出発したら何事もなく無事に帰って来ること。
これだけです。
何事もなくというのは、交通事故をしない、作業事故をしない、荷主さんや受け荷主さんとトラブルにならない、他社ドライバーや一般ドライバーとトラブルにならないなど、なんの問題もなく無事に帰って来ることです。
これこそがドライバーの仕事です。
私はこの気持ちを社長や部長、他ドライバーにも言って来ました。長年の間に沢山言いましたね、この言葉は。
その言葉のあとに、「それでも万が一何かあった時は、宜しくお願いします」と言い、管理者は「分かった。」と一言相槌をうちます。
まぁ、そこにはドライバーと管理者、経営者との信頼関係があるわけですが、この言葉を常に念頭に置いて仕事をした結果、トラブルもなく無事故無違反のゴールド免許にもなったわけです。
だからと言って全ての人がゴールド免許になるわけでも無く、運が良かったのもあると思いますが、ドライバーの安全運転安全作業に対しての意識を向上させるだけでもリスクは軽減できるはずです。
ですが、実際それが出来るのか?と質問されたら、私は「出来るのか?ではなく、やるんです」と答えますね。まぁ、やらない会社もあったんですけれど。

実例ですが、ある駐車場に停車していた車に、バックしていてぶつけたドライバーがいたのですが、そのドライバーは「そこに止めていたやつが悪い」と言い放ったそうです。それを聞いた社長が私に指導するように言ってきたのですが、その時にドライバーはベテランだという事から指導は厳しくなるという事を告げたら、その話は無くなり何の指導も行いませんでした。
たぶん、辞められたら困るからだと思いますが私にとってはあり得ないことでしたね。止まっている車にぶつけて相手が悪いなんて言うドライバーは運転してはいけませんし、この業界で働いては行けません。歩行者をはねても歩いてるお前が悪いと言うのと一緒です。
また走行速度について、スピードを守らないドライバーに対するルールとして、社内で制限速度を設けるのはドライバーの命を守るためだと何度経営側に言っても何もやらなかった経緯もあります。
他には荷卸し中に担当の方とトラブル(指示に従わなかった)になってしまい出禁になった人が「俺は悪くない」と、独断で直接相手に文句を言いに行った人や、荷主さんの担当者の態度に腹を立て怒鳴り散らして出禁になった人など。相手を尊重し感謝をし、相手を許す気持ちを持っていればトラブルも防げたはずです。
(理不尽な出禁もあるんですよ、荷主さんの指示で時間を指定して納品に行ったら、「何時に持ってくるんだ!持って帰れ!お前は二度と来るな!」と言われ出禁になった人とか)
仕事をしていれば、嫌なことや理不尽なことなんて普通にあるんですよ、それでも自分を押し通そうとしたり、感情むき出しにしたり、マウントを取ろうとするドライバーは、トラブルになっている傾向が多いです。
正直何一つメリットはありません。相手より優位に立ちたいという自己満足に浸りたいだけ。
会社は組織として活動していますから、感情を前に出し自分勝手に動くようなことが無いようにするべきですし、ドライバーも大人の対応が出来るようにならないといけません。
そこで先ほど書きました「ドライバーがやるたった一つのこと」を実践してもらえるように会社側が業務目標を立て施策を作れば良いんです。
例えば交通事故撲滅を業務目標にした時は、交通事故撲滅についてどんな具体的な施策を打って業務に落とし込んでいるのか?を考えるという具合です。
各ドライバーに「交通事故撲滅を目標とする!」と経営サイドが熱く語っても、ドライバーは「何をすれば良いの?」と戸惑い、各々の判断で動かなくてはいけないですよね。それじゃ、意味がありません。

ある業務目標を掲げてそれを具体的に業務に落とし込む場合には、「ロジックツリー」という手法も使われるのですが、抽象的な概念から具体的に論理展開していく形です。
それによって、各ドライバーが何をすれば良いのかがわかるはずです。
この場合「交通事故撲滅」が目標なので、それに対して実行することを考えてみます。
左から右へ具体的に何をやるのかを展開していくわけですね。
睡眠時間を確保する | 遅くまでゲームをしない 労働時間の短縮を検討 | ゲームは1日2時間にする 夜10時には寝る 運行計画の見直し 高速の活用 |
スピードを出さない | 余裕を持って出発する 社内制限速度のルール化 | 出社時間を早める イライラしない 制限速度を決める 守らせる |
健康管理に努める | 飲酒は適量にする 禁煙をする | 朝早い出勤時は飲まない 1日の量を決める 禁煙外来に行く タバコを〇本減らしていく |
左から右へだんだん具体的にアイデアが出ているのがわかるでしょうか?
こんな形で具体的な案を出せれば、ドライバーもわかりやすいと思います。
が、これでもやらない人間がいるのがトラックドライバー。なんにでも反発をする人が必ずいます。
そんな時はなぜできないのか?なぜやりたくないのか?理由を聞き、やらないデメリットとやるメリットを話してあげれば良いと思います。それでもやらないという人については残念ながら組織の一員として向いていない人です。切るのではなく業務委託として仕事をして貰うのが良いかも知れません。全ての責任は会社ではなく自分で取ることを伝えれば良いでしょう。その代わり自由に仕事をしてくださいと言えるはずです。
会社で働く従業員は会社に対して指揮命令下に置かれます、それに従えない人がいると秩序と風紀を乱し指示系統が混乱してしまいますから。
目標を設定することはとても重要ですし、目指すべき目標設定は仕事の成果にも結び付きますよね、目標達成したら成果として現れるのですから。
設定すべき目標として「有形の目標」と「無形の目標」、それと「短期の目標」と「長期の目標」がありますけれど、目標を「見える化」し可視化することも大事だと思います。進捗状況を見る事でモチベーションの維持や次は何をするのかを考えられます。
ちなみに「安全運行」は、運送会社なら出来て当たり前という認識なので目標にしても意味がありません。安全運行が出来ない運送会社を使いたい荷主さんなんていないでしょう?
ドライバーの労働環境を良くすると言う目標なら良いと思います。
小さな目標からやって達成する感覚を覚えていき、少しづつ会社が良くなったら良いなと思います。
ではでは。
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