運送会社のサービスは品質評価の難しいサービスだと思います。
なぜなら製品を運ぶドライバーがサービスの評価に関わるからです。
製品自体の品質評価はその製品が評価の対象ですが、物を運ぶ運送業の場合、目には見えにくい「知覚的な品質」、つまりドライバーが評価される訳です。
その他会社全体としてのサービス品質もあると思いますが、実際にはトラックドライバーのクオリティによって、仕事を失った会社があるほど重要な指標となります。
私がいた会社でも、たった一人のドライバーによって仕事の取引を無くしてしまったことがあります。
年間にして数百万円の損失です、なぜそのような事が起きたかと言えば、品質管理ができていないから。
品質管理というと、「物」というイメージがありますけれど、従業員にルールを守らせたり、教育をしたりすることだって品質管理ですよね?この品質管理自体も他社と比べた時「差別化」できるはずなんですが、まぁ、次にでも書こうかと思います。

他社からの紹介や他社の下請けとして、又は営業をかけて荷主さんが初めての運送会社を使おうと思った時、リスクを減らすためにいろいろな情報を集めようとするはずです。
情報源としては口コミやネットでの評判、他社運送会社や第3者から情報を貰ったり。その他に「値段、従業員、会社の規模」など。物質的な手掛かりを参考にするはずです。
ですので荷主さんが得た情報から生まれる「利用する前の期待感」より、「利用した後の期待感」の方が上回っていた。というように出来たら万々歳なわけです。
したがって運送会社のサービスは、製品以上にお客さんを満足させられるドライバーがいないとダメなんですね。
ある製品を長年利用しているお客さんに荷主さんの依頼で誰かが輸送した時、ドライバーのクオリティ一つで出入り禁止になったり担当ドライバーが変わってしまうのは、この相手側の知覚的な品質が悪かったからに他ならないでしょう。
サービス品質は、運送会社が思う指標と顧客から見た主観にもとづく指標があるはずです。これが合致していれば言う事ないのですが、なかなかお相手側とのギャップを埋めるのは難しいかもしれません。サービスと言っても色々なサービスがありますからね。
運送会社が持つサービスの一つ、ドライバーとしての品質は、お相手がどう感じるかの知覚的な品質になりますので、そちらを重要視しないといけないと思います。
この知覚的な品質の評価をする代表的な手法として「SERVQUAL」というものがあります。(サーブクオルと呼びます)
サービス(SERVICE)と品質(QUALITY)を掛け合わせた造語です。お客さんの求める品質と運送会社側が提供する品質とのギャップを埋める事ができれば、顧客が満足できるサービスを提供できるということなんですね。このサービス品質を5つの項目に分けて22の質問をして測定していくわけです。詳しくは省きますが、
● 信頼性(時間や期日を守り、約束されたサービスが確実に出来ていますか?)
● 確実性(ドライバーは礼儀正しく安心感や信頼感を与えていますか?質問に答えられる知識を持っていますか?)
● 共感性(顧客のニーズやウオンツを理解していますか?顧客に応じた注意を払っていますか?)
● 反応性(顧客の要望に応じたり手助けできてますか?適時にサービスを提供できてますか?)
● 有形性(ドライバーの外見や態度、身なりは洗練されていますか?施設や車両は整っていますか?)
上記に書いたことが出来るようになって、お客さんが期待していたサービスと運送会社側が提供するサービスのギャップを埋められ、品質の向上が見込まれるわけです。

運送業は人的接客サービスの提供があるホスピタリティ産業だと思います、でなければ出入り禁止になるドライバーなどいないでしょう。
それを理解していない運送会社及びそのドライバーが多いと思います。それを実感したのは実際の現場もそうですし、ネットやサイト内にあるコメント欄を見ても明らかです。
そこのコメント欄の中には、「お前たちの生活に必要な食料や物資を運んでやっている、文句があるなら自分でやれ!」とか「俺たちがいなけりゃ生活できないくせに」とか、ちょっと運送を否定されたくらいで低能な反発コメントが並びます。
一部の人間のコメントですが、そのコメントは不特定多数が閲覧できるものであり、かつ、公に解放されたネット上でのコメントなため、他の人達から見たらトラックドライバーって「偉そうだな」「口が悪いな」「ガラが悪いな」などというイメージを植え付けます。
そのような偏見を社会に植え付けたのは運送業でありトラックドライバーなのです。
このような考えかたを持つドライバーがいる限り運送業の社会的価値は向上しませんし、ドライバーのクオリティも向上しません。人手不足、運賃安いと文句を言っても、この業界で働く人達が変わらない限り運賃も人手不足も改善されることは無いのかなと感じます。
ただし、素晴らしい経営者やプロドライバーがいるのも事実です。
言いたいことは分かるコメントも多々あるので少しだけ意識を変えて頂けたら、より良い環境になっていくものだと信じています。
働く人は皆、世のため、人のため、誰かの幸せのために働いているのだから。運送もそうです。
これから2024年問題どうなっていくのですかね?
ではでは。
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