- 11月 16, 2023

運送会社は、トラックで荷物を運ぶという目で見える価値を提供しています。
ただ同業他社も同様なので、その目で見える価値で差別化はできない。
ドライバーや会社の事務員さんのサービス品質、その他付随する付加価値という目で見えない価値も作って差別化を図る。けど、どこも「どんぐりの背比べ」「似たり寄ったり」なので、当然価格競争になって来る。
例えばですが、ディスカウントストアで売られているコーラやサイダーは350mlで63円くらいでしょうか?
ですが同じ物でもホテルに行くと800円1000円と変わって来る。
何故でしょうか?
ただコーラを持ってくるのではなく、冷えたグラスにストローと氷を入れ、レモンやライムを添えた形で提供されて来ます。
居酒屋や飲食店だって、激安スーパーに行けば2リットルのウーロン茶が98円で売っているのに、氷を入れた300MLくらいのグラスに移し替えて提供するだけで、350円も貰える。
同じ物でも提供の仕方で値段が変わって来る。
これはお客さんに、心地よい環境、楽しい環境で最高に美味しいコーラや冷たいウーロン茶を飲めるという価値を提供しているから。
お客さんを喜ばす工夫をしているという事です。
業務効率化などDXを使って働く環境を整備したり、効率の良いルートを作ったりとするのは差別化と言っちゃ差別化だけれど、何処の会社も「それってうちでもできるよね?」というものなら差別化にはならないですよね、簡単に真似出来たり、直ぐに導入できるものは差別化にはならない。
だから
運送会社は、目に見えないサービスという価値をお客さんに提供しよう、お客さんが毎回安心して受け取れる、笑顔で対応してくれる価値を生み出して行きましょう。
というのが私の気持ちです。

そうすると、価格を下げないで価値を上げることができたのでは無いでしょうか。
では目で見える価値では差別化できないのか?と言うと、出来ると思います。
要はコアコンピタンスを持つということ。コアコンピタンスは他社には負けない自社の強み、他社には真似できない能力をもつということ。です。
○○に特化した運送会社とかは良い例かもしれません。その分野ではプロフェッショナル、何処にも負けない、うちに任せてくれたら大丈夫!みたいな。
それがないからほとんどの運送会社は赤字が続き、運賃以外に差別化できなかったのではないか?と推測します。
市場が拡大していた時は、ライバルが増えてもこれといって問題は無かったと思います。
けど、市場が成熟している今は、ほとんどの運送会社がドライバーとトラックだけのリソースで経営してきたから同質化してしまった。
だから値段で勝負するしかなかった、運賃を下げる事しか差別化できなかった。
そこで解決策となるのがコアコンピタンス。じゃどうやって作るの?って感じでしょうけど、自社の事は自分が良く知っていると言うことで自分たちで考えるしかないです。他人がギャーギャー言っても仕方ないですから。
「KFS]という言葉があります、(Key Factor for Success)「キーファクターフォーサクセス」と呼び、重要成功要因と言います。これを設定してゴールを明確にすることをお勧めします。
さてトラックと言う経営資源ですが、このトラックの回転率を上げていこうというのが私の意見です。
荷主さん元請けさんらとの兼ね合いもあるので課題は大きいでしょうが、あくまでも意見、アイデアとして読んで頂けたらと思います。
回転率が高いというのはトラックと言う資源を有効活用して、売り上げを増やすということです。
ある商品の在庫を持ち、回転率が高ければ、直ぐに売れてすぐに仕入れができますが、回転率が低いと、売れずに在庫として長期間滞留してしまいます。
回転寿司は安くお寿司を食べれますけど、ネタや職人が違うだけじゃなく、お客さんの回転率が高いから安くしても利益が出ます。薄利多売だけれど、多くのお客さんに来てもらい、多くのお客さんを捌くことで利益を出しています。
逆に喫茶店でも、純喫茶店は回転率が悪いですよね、珈琲一杯とサンドイッチで長居する人が多いから。
だから、運送会社はトラックの回転率を高めて、利益を増やしましょうという訳です。
トラックをフル稼働させたいですね。
毎日フル稼働してるわー!と言われてしまいそうですが、私の言うフル稼働は、1つの仕事を1日で終わらせるのではなく、3つ4つの仕事を1日で終わらせると言いたいのです。
要は、短時間短距離の仕事を増やす
1つの仕事の売り上げは少ないですが、複数の仕事をこなすことで1日の利益を最大にするのです。
当然機械なのでメンテナンスは必須ですが、短時間の輸送を沢山こなした方が良いと思われます。
人手の問題もありますし、仕事を見つけるのも大変かと思いますが、やってみる価値はあると思います。
だいぶ昔ですが、長距離をメインでやっていた会社が、地場に変更した方が良いと言って地場に変更したこともありましたから。
複数のお客さんを探し、短距離短時間の仕事を見つける。
ただし、待機時間、荷物の積み下ろしに時間がかかると意味が無いのでそこは気を付ける。珈琲一杯で長居する人と一緒になってしまいます。
その他、運送会社って倉庫を持っている所も多いと思います。
常に倉庫が稼働しているなら問題無いと思いますが、繁忙期以外は倉庫がスカスカだったり、一部しか使っていない状況ならレンタルスペースとして活用するのも良いのではないでしょうか?
自社の土地を活用するわけです、何もトラックだけが経営資源では無いですから。
また、大型トラックやトレーラーを所有する会社なら乗車体験をしたり、教習所のような運転講習をする事業をするのも面白いと思います、大型に乗りたいと思う人はいるでしょうから。
他にもトラックを使って移動喫煙車や企業の広告塔の車として、移動仮設トイレ車や移動喫茶店車、移動ライブ車など、移動○○車としてトラックを有効活用出来そうです。
これは範囲の経済と言って、会社が複数の事業をする時に、今持っている資源を使うことで新たな設備を確保しなくても、相互に補完し合えるのでコスト削減が出来るという点です。新しい事業をするのに所有しているトラックを使って、利益を増やそうと言う事です。
残念ながら物を運ぶという価値しか考えられない人は難しいと思いますが、トラックとドライバー、所有地などの資源をうまく活用して利益を生み出したいと思うなら、固定概念は壊す必要があります。
物を運ぶのが運送会社という視点でアイデアをだすなら、
「今より運賃を下げて今より利益を増やす」
というアイデアはありますけどね、難易度高いんですけどね。
でも成功したら荷主さんは喜ぶし運送会社も喜ぶ、WIN-WINの関係になりますね。
どこかの会社が同じようなアイデアを出してやってくれたら嬉しいですし、どんな結果になるのかワクワクもしますね、個人じゃ無理なので。
今日はここまでです。ではでは。
私がこの記事を書いたよ!
てるてる坊主
運送業に31年間勤めていました。運転した車はハイエースからセミトレーラー。個人宅配からルート配送、北海道から九州までの中長距離配送、そして運行管理者としてドライバー育成やマネジメント。 得意な事は出禁になったドライバーの後釜、失った信頼の回復などでしょうか?「貴方が来てくれて良かった」「貴方に来て欲しい」そんな言葉を言われて来ています。そういうことを複数社で長年やってきたものですから。 このブログはコンサル的なことも取り入れ、自分が携わって来た経験などから、ブログを書いています。拙い文章かもしれませんが、読んだ人が一つでも役に立ったと思ってくれたら嬉しく思います。
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