
まず初めにトラックドライバーの運賃はもっと上げるべきだと思う。
と言うことを前提に伝えておきます。
マーケティングの価格についての機能で、価格の品質バロメーターと言う機能があります。
価格が安い商品は品質が低く、価格が高い商品は品質も高いと言う印象を与えてしまう現象のことですね。
消費者(購入者)が、品質の判断が出来ない時にこの錯覚を起こすのだそうです。
これ、実験データもありまして、同じワインなのに値段が高い方が美味しいと感じたり、値段を上げたら売れ行きも上がったと言う出来事があるんです。
高い品物だから品質も良いに決まってると思い込み、価格の高い方が受け入れられる性質を持つのです。錯誤なんですけれども。
昔から「安物買いの銭失い」とか「安かろう悪かろう」という言葉がありますが、安かったから買ったけどすぐに壊れた!って経験誰でもあると思うんです。

価値と価格のバランスは合っていますか?
簡単に言うと、値段を手掛かりにその物の品質を判断してしまうのですね。
運送会社なら運賃が安いとドライバーの質が低く、運賃が高いとドライバーの質が高いと言うことにあたると思いますが、実際はどうなんでしょう?
正直、「まぁ、当たってるかな?」
と言う感想です。
実際標準的な運賃が制定されるほど、(標準じゃないですよ)運賃はいまだに低いと思いますので、やはりトラックドライバーのクオリティは低いと感じます。ただ、運賃が上がればドライバーのクオリティは上がるのか?というと、それも疑問符が付きます。人はそんな簡単には変わらないからです。
また、教育体制が出来ていない運送会社なんかは、そもそも教える人材がいないでしょうから、ますます難しいでしょうね。だって今までやっていなかったのですからそんな教える側の人材はいません。
やっていないから出来るはずがありません。
求人出して雇用するしかありません。
例え人材がいて教育体制が整ったとしても、今までやってこなかったドライバーは、やらせるのも大変でしょうし、従わないドライバーだっています。
「今までこのやり方でやってきたんだ!面倒くさいことやらせるな!」と反発します。今まで何もやっていない又は形骸化している運送会社は反発するドライバーが多いんじゃないかな?
業務を教えるのは諸先輩方が教えれば良いですが、荷主企業や荷受け主企業から喜ばれるドライバーを育てるとしたら、その人材はなかなか居ないのではないでしょうか?
荷主企業さんも、荷受け主企業さんも、初めはどんなドライバーが担当するんだろう?と思っているはずです、怖そうな人?優しそうな人?感じが良い人?等々ね。
また長くお付き合いしていても、だんだんと横柄になったり、態度がでかくなったり、言葉使いが酷かったり、荷扱いが雑だったりと、ドライバーのクオリティは最初から分からないわけです。(変化もしていきますしね)
ただビジネスですから、ビジネスマンとしてしっかりと仕事が出来なきゃいけないわけで、運賃が低かろうが高かろうが、仕事を確実に遂行し、お客さんに満足して貰うことが重要なんです。
それが出来ないと顧客満足度は凄く下がるわけです。
だからドライバーの質を高めるための教育をしなくてはいけないのです。
実際過去に私が居た運送会社は、乗務前点検やアルコールチェック、点呼などを一切やらなかった会社があります。
「やらないのですか?」「やらないとダメです」と言ってもやらなかったですからね、この令和の時代に。そんな会社あるの!?とお思いでしょうが、あるんです。
荷主企業さんや元請けさんが知ったらどう思うのでしょう?
そんな運送会社を使いたいと思いますか?
私たち○○運送会社は荷主企業様と良きパートナーを築きますとか言っといて中身はとんでもないってこともあるわけです。当然ドライバー品質も低いと想像できます。
ただし、先ほども書きましたように、ビジネスです。
顧客がいる以上しっかりと仕事をしなくてはいけません、運賃が安いからとか言ってドライバーのクオリティが低いままではいけません。
大手ですと、教育体制もしっかりしていますしバカな行動をするドライバーもあまりいないと思います。
※注意「あまり」という言葉を付けたのは、実際に大手の看板しょっているトラックが信号無視したり、敷地内禁煙と書いてあるのにも関わらず、平気でタバコを吸っているドライバーを見ているからです。
中小企業でも事業所が複数ある大きな会社や、従業員が多い会社ですと教育体制もしっかりしてるはずです。

ドライバーのクオリティを向上させれば運送のクオリティも向上する
はっきり言います、トラックドライバーの質が上がれば運送業務自体そして運送会社の質も向上します。
顧客に喜ばれるドライバーは、評判が良くなります。評判が評判を呼び、そのドライバーが所属する運送会社の評判も良くなります。当たり前ですよね、お客が喜ぶドライバーがいる運送会社なら安心して運送業務を委託できますから。
わかります?この時点で顧客満足度は高いのですよ。
良い評判は利害関係が無い場所でも起こるかもしれません、ウィンザー効果と言いますが、口コミや噂を聞きつけた他社企業は、御社に対しての信憑性が増していますから相手側も御社を受け入れやすい状態になっています。
仕事が増えるって事です。
ただし、品質を上げるための教育にはお金がかかります、しかも物価高により利益も減少となると、教育に時間とお金をかけられないと言う会社もあるかもしれません。
コストダウンも必要ですが、「品質を上げることは安全を上げること」でもあり、安全をおろそかにすることは、運送会社にとっても死活問題のはずです。また、「顧客に安心と満足そして信頼を提供」する事も必要になってきます。
ですからそれなりにコストをかける必要がありますが、バランスの良い落としどころを見つけると良いと思います。
そして品質品質と散々言っていますが、運送会社の品質、ドライバーのクオリティを判断するのはお客さんです。会社の社長でも取締役でもありません。提供される側が判断するものであって、品質の良し悪しの答えはお客さんの心の中にあるわけです。
その心の中にある悩みやニーズ、ウオンツを発見し、満足度の高い仕事をすれば、荷主企業にとって最高の運送会社になれるだろうと私は思っています。答えは火を見るよりも明らかです。
そのためにはコミュニケーションが必要な訳です。ドライバーだってコミュニケーションが必要なのですよ。
高品質は高価格と言いますが、世の中には安くても品質の良い物は沢山ありますし、値段が高い方が絶対に良い物だと断定はできません。これも使い手(購入者)の心の中に答えがあるわけです。
一般的に高品質を提供するためにはそれなりのコストがかかります。人材教育に設備投資、それなりのコストをかけなくてはいけないので必然的に運賃価格も上がるわけですけれど、「じゃ、うちはそこそこのクオリティで良いから安くしてよ」という顧客もいる訳です。
また「品質は高く、料金は安く」と言う荷主企業さんもいるはずです、言っている事はごもっともなのですが、このような顧客を相手にしていたら一生運賃は上がらないでしょう。
高い品質を提供し、それを持続させていくにはコストがかかることを理解してもらうしかないですね。
だから運送会社としては、「当社はこれだけの高品質なサービスが提供できます、ですがその分コストがかかりますからこれだけの運賃になってしまいます」と言いたいでしょうが、言ったら「じゃ、他の運送会社に頼むよ」ってなりそうです。
ですので、他社より圧倒的な差別化を作り、相手が「これは、、、多少高くても御社にお願いするだけの価値がある」と思わせれば良いわけです。その差別化できる何かを作りましょう。何故かわかりますか?上記は生産者志向で下記は消費者志向で考えているからです。
お客さんが「色々相談にも乗ってくれるし、御社で良かったよ、満足だ」と言わせたら完璧ですよね。
ドライバーなら、「貴方で良かった」と言われることが最高の褒め言葉ですね。
ですが、高い運賃で高い品質と高付加価値を提供できる運送会社があったとしても、100%上手くいくとは限りません。お客さんの要求は皆同じじゃないから。
そして現在の運賃相場より御社の運賃が高ければそっぽを向いてしまう企業だっているはずです。
まずは今の運賃相場で最高の運送品質を提供することから始めるのが良いと思います。
安くても運送品質が高ければ顧客満足度は高いはず。
安いからってクオリティを下げる必要は全くありません。むしろ下げちゃいけません。
例として航空会社がわかりやすいのですが、飛行機の正規購入は高いですけれど、オフシーズンは安くなりますよね。また年末年始やゴールデンウイークは需要が見込めるため価格も上がります。
これはサービスの需要に応じて価格を変動させていくダイナミックプライシングという方法なのですが、需要が低い時は価格を下げ購入率をアップさせて売り上げを上げる訳です。では価格が安い時に飛行機サービスはクオリティが下がってますか?ってことです。
サービスの質は下がってませんよね、値段が安くても高くても一定の高水準のクオリティを提供しているはずです。それを運送会社もすれば良いのです。
過剰なサービスは必要ありませんし、付帯業務はまた別の話です。
ドライバーは良くこんな給料でやってられるか!なんでそこまでやらなきゃいけないの?って思う所があるかもしれませんけれど、横柄な態度をせず、しっかりとした言葉使いに丁寧な作業を心掛けましょう。
それが出来ないなら給料も上がらないでしょうね、だってそれはお客さんを怒らせる要因なのですから。
交通事故、作業事故、遅延、商品破損、過不足等のトラブルを引き起こし、顧客満足度を下げてしまい、自分達の給料が上がらないのです、それを自覚しましょう。
運賃が低い、給料が安いと文句を言ってるばかりではなく、今の現状を把握して今の状態で自分たちは何が出来るか?を探し顧客を喜ばせる方法を見つけた方が良いと思います。
運送会社に対しての厳しい規制や法律もそう、なぜ厳しくなったのか?原因は?どうしたら緩和出来る?
文句ばかり言っている人は、全て人のせいにして自分は何の行動も起こさない人達なのでしょうね。
最後はちょっと愚痴っぽくなってしまいました、ではでは。
私がこの記事を書いたよ!

てるてる坊主
運送業に31年間勤めていました。運転した車はハイエースからセミトレーラー。個人宅配からルート配送、北海道から九州までの中長距離配送、そして運行管理者としてドライバー育成やマネジメント。得意な事は出禁になったドライバーの後釜、失った信頼の回復などでしょうか?「貴方が来てくれて良かった」「貴方に来て欲しい」そんな言葉を言われて来ています。そういうことを複数社で長年やってきたものですから。このブログはコンサル的なことも取り入れ、自分が携わって来た経験などから、ブログを書いています。拙い文章かもしれませんが、読んだ人が一つでも役に立ったと思ってくれたら嬉しく思います。
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